お茶の伝説
お茶が中国で最初に発見されたことが定説になっておりますが、いつから飲み物として認められたのかは判っておりません。言い伝えでは中国の神農皇帝が紀元前2737年に発見し、“お茶は気分が高揚し、歓喜を与える”として医学的効用を唱えたと伝えられています。
日本の神話では中国でのお茶の起源は達磨大師に求めています。大師は7年間寝ずに通したと言われていますが瞑想中に眠くなることを恐れて自分のまぶたを切り落し、藪に投げ捨てた所、まぶたは根を張り、成長して緑陰を作り大師の目をかばったと伝えられています。
インドでも同じようなストーリーがあります。達磨が7年間の不眠の修行をしていたところ5年目になって睡魔に襲われました。達磨は木から数枚の葉をつんで、それを噛んだところ眠気が失せて完全な覚醒状態で修行を終えたと伝えられています。
お茶は仏教と密接に関係しています。寺院の庭にお茶の木が植えられ、葉を煎じて飲まれています。お坊さんの手が届かない高い所は猿を使って摘み取らしたといいます。
神農皇帝の伝説はお茶の起源の根拠にしていますが史実ではありません。神農皇帝は西暦25~221年に”Che-“という言葉を使ったことが記録にのこっており、”ちゃ”が実際に使われ始めたのは7世紀になってからです。唐時代の有名な詩人、陸羽は西暦780年に古典となっている“茶経”を著わしています。
お茶は何処で、どのようにして栽培され、作られているのでしょうか?
我々はお茶を毎日飲んでいるにもかかわらず、何処から来て、どのようにして作られているのか知っていません。
お茶の学名はカメリア・シネンシスといいます。
インドのアッサム地方、ビルマ北東部、中国南西部の雨林地帯で自然に生育している植物です。しかし、世界の30数カ国でも栽培、収穫されています。
遠くはアルジェンチン、中国、パプアニューギニア、トルコなどがあります。英国の飲まれるお茶の大半はアフリカ、インド、スリランカ産のお茶です。お茶の木は融通性があり、耐久力を持っております。ヒマラヤ山麓7000フィートの高知でも成長は遅くても育ちますし、4ヶ月間雪に閉ざされるトルコの山でも茶木は生育します。
しかし、お茶を耕作しても採算性に見合う茶園は限られています。太陽の光がふんだんにあり、暖かく適度の雨が降る条件の土地では生産性の高いお茶が取れます。
ケニヤのリフト渓谷はこの条件に適しており年間を通じてお茶を摘むことが出来ます。
お茶の品質は生産国、木の種類、天候、緯度、土壌、生産方法によって異なってきます。これらの組合わせによってお茶には多様の要素があるために同じ農園のお茶といえ全く同じ品質、味が得られるわけにはいきません。
野生のお茶は30フィートまで成長します。しかし、人間の手が届き、摘みやすくするために茶木を3~4フィートの高さに剪定しています。
通常は農園の大きさは平均500ヘクタールで、1ヘクタール当たり15,000本の茶木を植樹します。又、茶木は地形にそって斜面のある丘陵に植えつけられます。
一本の木から年間平均125グラムのお茶を生産します。ティー・バッグにすると40袋に相当します。
お茶木の寿命は70年迄で、うち65年間お茶を生産し続けます。
土地の腐食の度合いの高い熱帯地方の土壌はこのように長い年齢を持つ茶木のお陰で侵食の度合いを抑えています。お茶の潅木が土地を安定的に覆い、水分の蒸発を抑え土壌の養分を安定的に保持しているからです。
環境面の茶は永年土質を、保護しています。摘み取られた全ての茶葉はきっちりと管理されていますが、同時に生産性と品質の向上、病気に対する対策が絶えず研究されています。
わが国(英国)で使用するお茶の分類はブラック・ティー(紅茶)です。
それは次のようにして作られます。
お茶の葉がまず摘み取られます。その場合新鮮な若い葉だけです。伝統的に双葉と新芽です。これは繊細な風味を醸し出すからです。
摘み取られた葉は工場に送られ浅くて細長いトレイに振分け12~14時間放置して萎凋させます。水分を抜き葉をしなやかにするのが目的です。大きな扇風機で空気を送り葉から出る水蒸気を散らします。
薬がしなやかになると緑色の薬の中の細胞が破壊され、薬の表面に薬液がにじみ出て、薬を包み込みます。
これは通常は葉をローリング(柔捻-オーソドックス)か切断、ちぎり、カール(CTC製法)をします。
その結果パルプ状になった葉に約二時間酸素を供給します。この段階でパルプ状になった葉のなかで酵素が働き化学変化が起りジアフラビンとジアルビゲン(アロマ物質)をつくり出します。
これらの要素がお茶の味と色合いを決めるのです。最初は生き生きした緑色の葉がこのようにして茶褐色に変化します。
最大限の風味をお茶に取り入れるようにこの段階で発酵工程を止めます。方法としては90度のドライヤーで熱すると、科学変化が停止して、我々が慣れ親しんだブラック・ティーが出来上がります。
最終局面では苦心して作った飾分(ふるいわけシステムを使い、各ロット毎に貯蔵するパッチ(釜)から取り出しサイズごとに選別して、包装し、出荷します。